今日の気分はどうだい?

映画、小説、料理などなど。

梅雨のような女

 

 

気分が変わりやすい人間がいる

 

人に合わさずに自分の気分を全面に出せる人間

 

 

 

山の天気のように変わりやすく

 

笑っていたかと思えば怒り出し

 

不機嫌だったのに急に甘え出す

 

 

 

 

今、私の目の前にいる女がまさにそれである

 

 

 

今日は着いた瞬間から機嫌が悪い

 

 

髪型を変えていたので褒めてみる

 

、、、空振り

 

 

飲み物を与えてみる

 

、、、まだ手をつけない

 

 

 

 

 

今日は機嫌をとるのをやめにしよう

 

 

 

 

 

仕事の付き合いであるから

 

好き嫌いでこの女と一緒にいるわけではない

 

 

 

 

 

この女の機嫌が良いときは

 

お気に入りの男が自分に構っているとき

 

圧倒的にそれに尽きる

 

 

 

 

 

もしその男が別の女に構っていたら

 

すぐに機嫌が悪くなるか

 

最悪の場合、病み出す

 

 

 

 

 

その男が私に構ってしまったときは悲劇である

 

私は困ったふりをしてその女の近くにいき

 

”この人面倒なんだけど〜”

 

と迷惑そうな顔をして彼女に助けを求めるのだ

 

 

 

 

 

 

今日は、彼女のお気に入りはだれもいない

 

萎れたオジサンしかいない

 

今日はだれも彼女の機嫌をとることはできない

 

 

 

 

 

 

 

絶世の美女か

 

よほどの権力者以外

 

自分の機嫌は自分でとるもの

 

というルールを徹底してほしい

 

 

 

 

 

 

 

自分よりも若い彼女を見ながら

 

私が自分で自分の機嫌をとれるようになったのはいつからだろうと

 

今までの自分を振り返って見た

 

 

 

 

 

 

 

たぶん最近である

 

 

 

 

 

 

数年前まで

 

私は滅多に自分を甘やかすことがなく

 

お菓子を買ったり

 

コンビニでお弁当を買ったり

 

歩ける距離でタクシーに乗ったり

 

そういった贅沢や手抜きをうまくできなかった

 

 

 

 

それは学生時代に一人暮らしをしている頃に

 

経済的な余裕がなかった習慣が身に染みてしまっているのだ

 

 

 

 

 

 

最近は周りの影響もあり

 

わりとすぐにタクシーに乗ってしまうし

 

お菓子やできあいのものを買って食べることもある

 

 

 

 

仕事で疲れて家に帰ってきてから

 

ご飯をつくって食べて片付けるという行為は

 

なかなかハードルが高い

 

 

 

食事がストレスになってしまっては意味がない

 

 

 

そう気付いてから

 

自分を甘やかせるようになった

 

 

 

 

作る時間を省略して

 

簡単にお腹を満たすという行為は

 

心も簡単に満たしてくれることを知った

 

 

 

そうだ、つい最近である

 

 

 

 

 

 

今日はがんばったから

 

なんでもないけどケーキを買ってみる

 

食べたい気分だからコンビニの唐揚げを食べてみる

 

歩ける距離だけどタクシーに乗る

 

 

 

 

かける必要はなかったかもしれないお金を払って

 

楽を得る

 

時間の余裕を得る

 

 

 

それが自分を豊かにすることを

 

ちゃんと理解してから

 

ずいぶんと生きやすくなった

 

 

 

 

 

それと比べたら

 

この”気分が梅雨”女はまだ若い

 

 私よりも7年も生きていない

 

 

 

 

 

 

髪色を変える

 

ネイルを変える

 

新しい服を買う

 

 

 

そんな必要経費も

 

高いんだよねー

 

という言葉がついてまわる

 

 

 

 

 

若い頃は仕方ない

 

ほしいものが溢れ

 

毎日でも遊びたい友達に囲まれていたら

 

ちょっとした贅沢が

 

暮らしを豊かにすることに気付かない

 

 

 

 

 

からしたら毎日のように

 

友達をごはんにいき

 

定期的に髪色もネイルも変わっていることは

 

十分な贅沢であるが

 

 

若い女からしたら

 

それは全て必要経費であって

 

贅沢ではない

 

 

 

 

 

今の必要経費を

 

贅沢だと思えるようになったら

 

きっと

 

自分の機嫌を

 

自分でコントロールできるくらいの余裕ができるだろう

 

 

 

 

 

年中、梅雨のような女を見ながら

 

そんなことを思っていた

 

 

 

若い頃にはわからなかったこと、

 

感じなかったことを

 

感じられるようになること

 

 

 

 

年齢を重ねることが

 

 最近たのしいと思えるようになった